Excel NORM.INV関数の使い方|正規分布で上位○%の境界値を計算(NORMINV)

Excel NORM.INV関数の使い方|正規分布で上位○%の境界値を計算(NORMINV)
式の書き方
数式=NORM.INV(確率,平均,標準偏差)
目次

はじめに

Excelには様々な統計関数が用意されていますが、NORM.INV関数(および以前のNORMINV関数)は、正規分布(ガウス分布)の逆関数を計算する際に非常に役立ちます。具体的には、「ある確率以下の値は何か?」という問いに答えることができます。例えば、テストの点数分布が正規分布に従う場合に、「上位20%に入るためには何点以上必要か?」といった問題を解決できます。この記事では、NORM.INV関数の基本的な使い方から、画像にある例のような応用までを詳しく解説します。

正規分布とは?

正規分布は、平均値を中心として左右対称の釣鐘型の分布です。平均値と標準偏差という2つのパラメータによって完全に決定されます。

  • 平均値 (μ): 分布の中心を表します。
  • 標準偏差 (σ): 分布の広がり具合を表します。標準偏差が大きいほど、分布は広くなります。

NORM.INV関数とは?

NORM.INV関数は、指定された確率に対応する正規分布の値を返します。これは、NORM.DIST関数の逆の操作を行います。以前のExcelバージョンではNORMINV関数が使用されていましたが、現在はNORM.INVが推奨されています。

基本的な構文

Excel

NORM.INV関数の構文
数式=NORM.INV(確率,平均,標準偏差)
ひとことで正規分布で、指定した累積確率に対応する値を返す
確率
下から数えた累積確率です。0より大きく1より小さくします
平均
分布の平均です
標準偏差
分布の標準偏差です。0より大きくします
補足NORM.DIST(累積確率を求める関数)の逆の計算です。

各引数の意味は以下の通りです。

  • 確率(必須): 求めたい確率を指定します。0から1の間の数値を指定します。
  • 平均(必須): 正規分布の平均値を指定します。
  • 標準偏差(必須): 正規分布の標準偏差を指定します。

まず動かしてみよう|この記事のサンプルをその場で試せます

練習用ファイルをダウンロードしなくても、記事と同じデータ・同じセル番地のサンプルをここで動かせます。黄色いセルを書き換えると、結果がその場で変わります。各解説の最後にある「▶ この式を試す」を押すと、このツールの該当セルへ移動します。

画像例の解説

画像では、以下の設定でNORM.INV関数を使用しています。

  • 累積確率: セルA2に0.2(20%)が入力されています。これは、「上位20%」を求めるために、下位80%(1-0.2=0.8)に対応する値を求めることを意味します。ただし、NORM.INVは累積確率(下から数えた確率)を受け取るため、ここでは0.2を使用しています。
  • 平均 (μ): セルB2に70が入力されています。これは、テストの平均点が70点であることを意味します。
  • 標準偏差 (σ): セルC2に10が入力されています。これは、テストの標準偏差が10点であることを意味します。
  • 数式: セルD2には以下の数式が入力されています。

Excel

D2に入力:下位20%の境界の得点を求める
数式=NORM.INV(A2,B2,C2)
ひとことで平均70・標準偏差10の分布で、下位20%に入る境界の得点
A2
累積確率(0.2)です
B2
平均です
C2
標準偏差です
補足結果は約 61.6 です。

この数式を分解して解説します。

1
A2: 累積確率(0.2)を指定しています。
2
B2: 平均(70)を指定しています。
3
C2: 標準偏差(10)を指定しています。
正規分布で下位20%の境界の得点を求める(NORM.INV)式 =NORM.INV(A2,B2,C2) の解説図。D2に入力する
D2に =NORM.INV(A2,B2,C2) を入力。平均 70・標準偏差 10 で 下から 20%の位置の得点 70 − 0.8416 × 10 = 61.58

数式の動作

この数式は、「平均70点、標準偏差10点の正規分布において、下位20%の境界値」を計算します。つまり、この値より小さい得点を取った人は下位20%に入ることを意味します。逆に言えば、この値以上の得点を取った人は上位80%に入ります。画像では、上位20%に入る得点を求めたいので、下位80%の境界値を求めるために、1-0.2 = 0.8 を確率として使用する必要があります。しかし、この画像では直接0.2を使用しているため、計算結果は下位20%の境界値となっています。正しくは、上位20%を求める場合は、以下のように計算します。

Excel

E2に入力:上位20%の境界の得点を求める
数式=NORM.INV(1-A2,B2,C2)
ひとことで確率を「1−A2」にして、上位から数えた境界の得点を求める
1-A2
上位20%なら、下から80%の位置なので、1−0.2=0.8 を指定します
補足結果は約 78.4 です。

この場合、1-0.2 = 0.8 が確率として使用され、結果は約78.41となります。つまり、約78.41点以上取れば上位20%に入ることになります。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを、以下のリンクからダウンロードし、練習用として活用ください。

練習用Excelファイル(無料ダウンロード)
この記事の解説で使うExcelデータです。数式と練習データが入っているので、本文の式を同じ表で試せます。
Excelファイル(.xlsx)/登録不要/数式・練習データ入り

例:身長の分布

例えば、ある地域の男性の身長が平均170cm、標準偏差5cmの正規分布に従うとします。このとき、上位10%に入るためには何cm以上必要かは、=NORM.INV(1-0.1,170,5) または =NORM.INV(0.9,170,5) で計算できます。

NORM.INV/NORMINV関数の注意点

  • 確率は0より大きく1より小さい数値でなければなりません。
  • 標準偏差は0より大きい数値でなければなりません。
  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。

古い関数NORMINVについて

以前のバージョンのExcelでは、NORMINVという関数が使用されていましたが、これは互換性のために残されているだけで、最新のExcelではNORM.INVを使用することが推奨されています。NORMINVとNORM.INVの機能は基本的に同じです。

まとめ

NORM.INV関数は、正規分布における上位または下位のパーセンテージの境界値を計算する際に非常に役立つ関数です。テストの分析、品質管理、金融など、様々な分野で活用できます。特に、上位パーセンテージを求める場合は、1-確率 を使用することを覚えておきましょう。この関数を理解し、適切に活用することで、データ分析の幅を広げることができるでしょう。

この解説で、NORM.INV/NORMINV関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。

確率分布・統計検定に関するExcel関数の全体像は、こちらのまとめで整理しています。

正規分布の確率を求めるときは、NORM.DIST関数の使い方もあわせてご覧ください。

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