498|Excel FISHER関数:相関係数をフィッシャー変換

目次

はじめに

Excelには様々な統計関数が用意されていますが、FISHER関数は、相関係数をフィッシャー変換する際に役立ちます。フィッシャー変換は、相関係数を正規分布に近づけるための変換であり、相関係数の検定や信頼区間の計算などで使用されます。この記事では、FISHER関数の基本的な使い方から、画像にある例、そしてExcelのバージョン情報までを詳しく解説します。

フィッシャー変換とは?

フィッシャー変換(またはフィッシャーのz変換)は、相関係数 r を以下の式で変換する手法です。

z = 0.5 * ln((1 + r) / (1 - r))

ここで、ln は自然対数です。相関係数 r は-1から1の間の値を取りますが、この変換によって z はほぼ正規分布に従うようになり、統計的な扱いが容易になります。特に、標本サイズが小さい場合や、相関係数の絶対値が大きい場合に効果を発揮します。

FISHER関数とは?

FISHER関数は、Excelでフィッシャー変換を行うための関数です。

基本的な構文

Excel

=FISHER(r)

各引数の意味は以下の通りです。

  • r(必須): 変換する相関係数を指定します。-1より大きく1より小さい数値を指定します。

Excelバージョン情報:FISHER

FISHER関数は、Excel 2007で導入されました。それ以前のバージョンでは、この関数は提供されていませんでした。

画像例の解説

画像では、以下の設定でFISHER関数を使用しています。

  • 相関係数 (r): セルA2に0.2が入力されています。
  • 数式: セルB2には以下の数式が入力されています。

Excel

=FISHER(A2)

この数式を分解して解説します。

  1. A2: 相関係数(0.2)を指定しています。

数式の動作

この数式は、相関係数0.2をフィッシャー変換します。結果として、セルB2には0.2027…(約0.2027)と表示されています。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを、以下のリンクからダウンロードし、練習用として活用ください。

【Excel】練習用サンプルデータ(例題)をダウンロード(無料)

FISHERINV関数(逆変換)

フィッシャー変換された値 z から元の相関係数 r を求めるには、FISHERINV関数を使用します。

基本的な構文

Excel

=FISHERINV(z)

ここで、z はフィッシャー変換された値を指定します。

例えば、セルB2に0.2027と入力されている場合、セルC2に以下の数式を入力すると、元の相関係数0.2が求められます。

Excel

=FISHERINV(B2)

フィッシャー変換の応用例

フィッシャー変換は、以下の場面で役立ちます。

  • 相関係数の検定: 2つの相関係数の間に有意な差があるかどうかを検定する場合。
  • 相関係数の信頼区間の計算: 相関係数の信頼区間をより正確に計算する場合。
  • メタアナリシス: 複数の研究結果を統合する場合。

例:2つの相関係数の比較

例えば、2つの異なるグループで相関係数を計算した結果、それぞれ0.3と0.5になったとします。これらの相関係数に有意な差があるかどうかを検定する場合、フィッシャー変換を用いることで、より正確な検定を行うことができます。

FISHER関数の注意点

  • 相関係数 r は-1より大きく1より小さい数値でなければなりません。
  • r が-1または1の場合、エラー値 #NUM! が返されます。
  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。

まとめ

FISHER関数は、相関係数をフィッシャー変換する際に非常に便利な関数です。相関係数の検定や信頼区間の計算などで使用されます。Excel 2007以降を使用している場合は、FISHER関数とFISHERINV関数を活用することで、より高度な統計分析を行うことができます。

この解説で、FISHER関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。

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