はじめに
Excelには様々な統計関数が用意されていますが、Z.TEST関数は、データが正規分布に従う母集団から抽出されたという仮説を検定する際に役立ちます。具体的には、標本平均が特定の母集団平均と等しいかどうかを検定します。この記事では、Z.TEST関数の基本的な使い方から、画像にある例、そしてExcelのバージョン情報、さらに旧バージョンのZTEST関数についても詳しく解説します。
Z検定とは?
Z検定は、母集団の分散が既知の場合に、標本平均と母集団平均の間に有意な差があるかどうかを判断するための統計的手法です。例えば、ある製品の平均重量が以前のデータから分かっており、新しい製造ラインで生産された製品の平均重量が以前の平均と異なるかどうかを調べたい場合などに使用されます。
Z.TEST関数とは?
Z.TEST関数は、データ範囲の平均が特定の母集団平均と等しい確率を返します。
基本的な構文
Excel
=Z.TEST(配列, x, [σ])
各引数の意味は以下の通りです。
- 配列(必須): 検定するデータ範囲を指定します。
- x(必須): 検定する母集団平均(基準値)を指定します。
- σ(任意): 母集団の標準偏差を指定します。省略した場合、標本標準偏差が使用されます。
Excelバージョン情報:Z.TESTとZTEST
Z.TEST関数は、Excel 2010で導入されました。それ以前のバージョンでは、ZTEST関数を使用していました。ZTEST関数は互換性のために残されていますが、新しいバージョンではZ.TESTを使用することを推奨します。
画像例の解説
画像では、以下の設定でZ.TEST関数を使用しています。
- 配列: セル範囲B2:B6(実測値)を指定しています。
- x: セルC2(基準値、母集団平均)を指定しています。
- σ: セルC4(標準偏差)を指定しています。
- 数式: セルC7には以下の数式が入力されています。
Excel
=Z.TEST(B2:B6,C2,C4)
この数式を分解して解説します。
- B2:B6: 実測値のデータ範囲を指定しています。
- C2: 母集団平均(基準値)を指定しています。ここでは200が指定されています。
- C4: 母集団の標準偏差を指定しています。
数式の動作
この数式は、「実測値の平均が、平均200、標準偏差C4の母集団から抽出された確率」を計算します。結果として、セルC7には0.732415935と表示されています。これは、実測値の平均が、平均200、標準偏差C4の母集団から偶然抽出される確率が約73.2%であることを意味します。
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ZTEST関数(古いバージョン)
Excel 2007以前のバージョンでは、ZTEST関数を使用していました。ZTEST関数の構文は以下の通りです。
Excel
=ZTEST(配列, x, [σ])
引数の意味はZ.TEST関数と全く同じです。
Z.TEST関数の出力について
Z.TEST関数が返す値は、片側確率です。具体的には、「標本平均がx以上になる確率」を返します。これは、右側確率とも呼ばれます。
両側確率を求める場合
Z.TEST関数では両側確率を直接求めることはできません。両側確率を求めるには、以下の式を使用します。
Excel
=2*MIN(Z.TEST(配列, x, [σ]), 1-Z.TEST(配列, x, [σ]))
例:製品の品質管理
ある製品の平均重量が過去のデータから100gであることが分かっています。新しい製造ラインで生産された製品の重量を無作為に10個抽出し、測定した結果、以下のようになりました。
{102, 105, 98, 101, 103, 99, 104, 100, 106, 97}
母集団の標準偏差が5gと分かっている場合、新しい製造ラインで生産された製品の平均重量が以前の平均と異なると言えるかどうかを検定します。
ExcelでZ.TEST関数を使用すると、
Excel
=Z.TEST({102, 105, 98, 101, 103, 99, 104, 100, 106, 97}, 100, 5)
と入力します。
Z.TEST関数の注意点
- 配列は数値でなければなりません。
- 標準偏差σは正の数でなければなりません。
- 配列が空の場合、エラー値 #N/A が返されます。
- 標準偏差σが0以下の場合、エラー値 #NUM! が返されます。
まとめ
Z.TEST関数は、正規母集団の平均を検定する際に非常に役立つ関数です。母集団の標準偏差が既知の場合に使用します。最新のExcelを使用している場合は、Z.TEST関数を使用し、古いバージョンを使用している場合はZTEST関数を使用することを覚えておきましょう。
この解説で、Z.TEST関数とZTEST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。
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