476|Excel PHI関数とNORM.S.DIST関数:標準正規分布の確率密度を計算

目次

はじめに

Excelには様々な統計関数が用意されていますが、PHI関数(およびNORM.S.DIST関数)は、標準正規分布における確率密度を計算する際に役立ちます。確率密度とは、ある特定のz値における「高さ」のようなもので、その値を取る確率そのものではありません。確率を求めるには、確率密度を積分する必要があります(つまり、グラフの下の面積を求めることになります)。この記事では、PHI関数と、より現代的なNORM.S.DIST関数の使い方を詳しく解説します。

標準正規分布とは?

標準正規分布は、正規分布の中でも特に重要な分布で、以下の特徴を持ちます。

  • 平均 (μ): 0
  • 標準偏差 (σ): 1

PHI関数とは?

PHI関数は、標準正規分布の確率密度関数(PDF)の値を返します。

基本的な構文

Excel

=PHI(x)

各引数の意味は以下の通りです。

  • x(必須): 標準正規分布における値を指定します(z値)。

NORM.S.DIST関数とは?

NORM.S.DIST関数は、標準正規分布の確率密度関数(PDF)または累積分布関数(CDF)の値を返します。PHI関数の代わりにこちらを使用することが推奨されています。

基本的な構文

Excel

=NORM.S.DIST(x, cumulative)

各引数の意味は以下の通りです。

  • x(必須): 標準正規分布における値を指定します(z値)。
  • cumulative(必須): 論理値で、関数の種類を指定します。
    • TRUE: 累積分布関数(CDF)を返します。
    • FALSE: 確率密度関数(PDF)を返します。

画像例の解説

画像では、以下の設定でPHI関数を使用しています。

  • z値: セルA2に0.2が入力されています。
  • 数式: セルB2には以下の数式が入力されています。

Excel

=PHI(A2)

この数式を分解して解説します。

  1. A2: z値(0.2)を指定しています。

数式の動作

この数式は、「標準正規分布において、z値が0.2の確率密度」を計算します。結果として、セルB2には0.3989(約0.39)と表示されています。これは、z=0.2における標準正規分布のグラフの「高さ」を表しています。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを、以下のリンクからダウンロードし、練習用として活用ください。

【Excel】練習用サンプルデータ(例題)をダウンロード(無料)

NORM.S.DISTを使った場合

同じ結果をNORM.S.DIST関数で得るには、以下の数式を使用します。

Excel

=NORM.S.DIST(A2, FALSE)

この数式も、z値0.2に対する確率密度を計算し、PHI関数と同じ結果を返します。

例:正規分布のグラフ

確率密度は、正規分布のグラフを描く際に使用されます。例えば、様々なz値に対する確率密度を計算し、それらをグラフにプロットすることで、標準正規分布の釣鐘型のグラフを作成することができます。

PHI関数の注意点

  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
  • PHI関数は標準正規分布(平均0、標準偏差1)にのみ適用されます。

NORM.S.DIST関数の注意点

  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。

まとめ

PHI関数は、標準正規分布の確率密度を計算する簡単な方法を提供しますが、現代のExcelではNORM.S.DIST関数を使用することが推奨されています。NORM.S.DIST関数は、確率密度だけでなく累積確率も計算できるため、より汎用性があります。これらの関数を理解することで、正規分布に関する様々な計算をExcelで行うことができるようになります。

この解説で、PHI関数とNORM.S.DIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。

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