471|Excel NORM.DIST/NORMDIST関数:正規分布における確率を計算

目次

はじめに

Excelには様々な統計関数が用意されていますが、NORM.DIST関数(および以前のNORMDIST関数)は、正規分布(ガウス分布)に基づいて確率を計算する際に非常に役立ちます。正規分布は、自然界や社会現象において頻繁に現れる確率分布であり、身長、体重、テストの点数など、多くのデータが正規分布に従うことが知られています。この記事では、NORM.DIST関数の基本的な使い方から、画像にある例のような応用までを詳しく解説します。

正規分布とは?

正規分布は、平均値を中心として左右対称の釣鐘型の分布です。平均値と標準偏差という2つのパラメータによって完全に決定されます。

  • 平均値 (μ): 分布の中心を表します。
  • 標準偏差 (σ): 分布の広がり具合を表します。標準偏差が大きいほど、分布は広くなります。

NORM.DIST関数とは?

NORM.DIST関数は、正規分布における確率密度または累積分布を計算します。以前のExcelバージョンではNORMDIST関数が使用されていましたが、現在はNORM.DISTが推奨されています。

基本的な構文

Excel

=NORM.DIST(x, 平均, 標準偏差, 関数形式)

各引数の意味は以下の通りです。

  • x(必須): 正規分布における値を指定します。
  • 平均(必須): 正規分布の平均値を指定します。
  • 標準偏差(必須): 正規分布の標準偏差を指定します。
  • 関数形式(必須): 計算に使用する関数の形式を論理値で指定します。
    • TRUE:累積分布関数(指定された値以下の確率)
    • FALSE:確率密度関数(指定された値の確率密度)

画像例の解説

画像では、以下の設定でNORM.DIST関数を使用しています。

  • 値 (x): セルA2に75が入力されています。これは、75点以上の人の割合を求めたいことを意味します。
  • 平均 (μ): セルB2に70が入力されています。これは、テストの平均点が70点であることを意味します。
  • 標準偏差 (σ): セルC2に10が入力されています。これは、テストの標準偏差が10点であることを意味します。
  • 数式: セルD2には以下の数式が入力されています。

Excel

=1-NORM.DIST(A2,B2,C2,TRUE)

この数式を分解して解説します。

  1. A2: 値(75)を指定しています。
  2. B2: 平均(70)を指定しています。
  3. C2: 標準偏差(10)を指定しています。
  4. TRUE: 累積分布関数を使用することを指定しています。つまり、75点以下の人の割合を計算します。
  5. 1-: 全体(1)から75点以下の割合を引くことで、75点以上の割合を求めています。

数式の動作

この数式は、「平均70点、標準偏差10点の正規分布において、75点以上の人の割合」を計算します。結果として、セルD2には0.3085(30.85%)と表示されています。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを、以下のリンクからダウンロードし、練習用として活用ください。

【Excel】練習用サンプルデータ(例題)をダウンロード(無料)

例:身長の分布

例えば、ある地域の男性の身長が平均170cm、標準偏差5cmの正規分布に従うとします。このとき、180cm以上の男性の割合は、=1-NORM.DIST(180,170,5,TRUE) で計算できます。

関数形式の使い分け

  • TRUE(累積分布関数): 例えば、=NORM.DIST(75, 70, 10, TRUE) は、「75点以下の人の割合」を計算します。
  • FALSE(確率密度関数): 例えば、=NORM.DIST(75, 70, 10, FALSE) は、「75点の確率密度」を計算します。これは、75点である確率ではなく、75点付近の確率の密度を表します。

NORM.DIST/NORMDIST関数の注意点

  • 標準偏差は0より大きい数値でなければなりません。
  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。

古い関数NORMDISTについて

以前のバージョンのExcelでは、NORMDISTという関数が使用されていましたが、これは互換性のために残されているだけで、最新のExcelではNORM.DISTを使用することが推奨されています。NORMDISTNORM.DISTの機能は基本的に同じです。

まとめ

NORM.DIST関数は、正規分布における確率を計算する際に非常に役立つ関数です。テストの分析、品質管理、金融など、様々な分野で活用できます。特に、画像にある例のように、1-NORM.DIST(x, 平均, 標準偏差, TRUE) の形で使用することで、特定の点以上の割合を簡単に求めることができます。この関数を理解し、適切に活用することで、データ分析の幅を広げることができるでしょう。

この解説で、NORM.DIST/NORMDIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。

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