目次
はじめに
ExcelのVLOOKUP関数は、完全一致検索だけでなく、近似一致検索も行うことができます。近似一致検索は、「○以上△未満」のような範囲で値を検索する場合に非常に役立ちます。この記事では、VLOOKUP関数の近似一致検索の使い方と注意点を、画像例を交えて詳しく解説します。
VLOOKUP関数とは?
VLOOKUP関数は、表の左端の列で特定の値を検索し、同じ行の別の列から値を返す関数です。
基本的な構文(復習)
Excel
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, [検索の型])
各引数の意味は以下の通りです。
- 検索値(必須): 検索する値を指定します。画像例では、セルB2の「得点」が検索値です。
- 範囲(必須): 検索対象となるセル範囲を指定します。画像例では、D3:F6の「得点評価対応表」が範囲です。
- 列番号(必須): 返す値がある列の番号を指定します。「範囲」の左端の列が1、右にいくにつれて2、3と増えていきます。画像例では「3」が指定されており、評価(F列)が返されます。
- 検索の型(省略可能):
- TRUE(または1):近似一致。検索値が見つからない場合、検索値以下の最大の値が使用されます。「範囲」の左端の列は昇順に並べ替えられている必要があります。
- FALSE(または0):完全一致。検索値と完全に一致する値のみが返されます。
近似一致検索の仕組み
VLOOKUP関数の近似一致検索(検索の型
にTRUE
または1
を指定)は、以下の手順で動作します。
- 「範囲」の左端の列(画像例ではD列の「得点」)を昇順に検索します。
- 「検索値」(画像例ではB2の「得点」)以下の最大の値を探します。
- 見つかった値と同じ行の「列番号」で指定された列の値(画像例ではF列の「評価」)を返します。
重要な注意点: 近似一致検索を使用する場合、「範囲」の左端の列は必ず昇順に並べ替えられている必要があります。並べ替えられていない場合、正しい結果が得られません。
<Excelサンプルデータダウンロード>
Excel VLOOKUP関数:近似一致検索で範囲指定をマスター!「○以上△未満」の条件検索を徹底解説
画像例の具体的な解説
画像例では、セルB3に以下の数式が入力されています。
Excel
=VLOOKUP(B2, D3:F6, 3, TRUE)
この数式は、以下の処理を行っています。
- セルB2に入力されている「得点」(例:55)を検索値として使用します。
- D3:F6の範囲(得点評価対応表)を検索範囲として検索を行います。
- 近似一致検索を行います。
具体例として、得点「55」の場合:
- D列を上から順に見ていきます。
- 「0」、「60」、「70」と進み、「80」に到達します。
- 「55」は、「55」以下の最大の値である「0」を選択します。
- 「0」と同じ行のF列の値、つまり「F」が返されます。
画像では、得点55点に対して評価「F」が正しく表示されていることが確認できます。
Excelのサンプルデータダウンロード
以下は、上記画像のExcelデータですので、ダウンロードして練習などに使用してください。
Excel-g709-1.xlsx (ダウンロード)
近似一致検索の活用例
- 得点に対応する評価の算出(今回の例)
- 売上高に応じた手数料率の算出
- 年齢に応じた保険料の算出
- 在庫数に応じた割引率の算出
近似一致検索の注意点
- 並べ替え: 「範囲」の左端の列は必ず昇順に並べ替えてください。これが最も重要な注意点です。
- 検索値が最小値より小さい場合: 検索値が「範囲」の左端の列の最小値より小さい場合、
#N/A
エラーが返されます。画像のMemoにも「検索値に負数を指定すると[#N/A]エラーになります。」と記載されています。例えば、得点に-1などを入力するとエラーになります。 - 検索値が数値以外の場合: 近似一致検索は数値データに対して使用することを想定しています。文字列などを検索値として使用した場合、予期しない結果になる可能性があります。
完全一致検索と近似一致検索の使い分け
特徴 | 完全一致検索(FALSE または0 ) | 近似一致検索(TRUE または1 ) |
---|---|---|
検索方法 | 完全に一致する値を検索 | 検索値以下の最大値を検索 |
並べ替え | 不要 | 範囲の左端の列は昇順に並べ替えが必要 |
主な用途 | IDやコードなどの検索 | 範囲に基づく評価や分類 |
エラー | 一致する値がない場合#N/A エラー | 検索値が最小値より小さい場合#N/A エラー |
まとめ
VLOOKUP関数の近似一致検索は、「○以上△未満」のような範囲検索を行う場合に非常に便利です。ただし、範囲の並べ替えが必須であること、検索値が最小値より小さい場合にエラーになることなど、いくつかの注意点があります。これらの点を理解した上で、適切に活用することで、データ分析の幅が広がります。
この解説で、VLOOKUP関数の近似一致検索について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。
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