はじめに
Excelには様々な統計関数が用意されていますが、GAUSS関数(およびNORM.S.DIST関数)は、標準正規分布における平均(0)からの累積確率を計算する際に役立ちます。標準正規分布は、平均が0、標準偏差が1の正規分布であり、統計学において非常に重要な役割を果たします。この記事では、GAUSS関数と、より推奨されるNORM.S.DIST関数の使い方を詳しく解説します。
標準正規分布とは?
標準正規分布は、正規分布の中でも特に重要な分布で、以下の特徴を持ちます。
- 平均 (μ): 0
- 標準偏差 (σ): 1
GAUSS関数とは?
GAUSS関数は、標準正規分布において、平均(0)から指定された値までの累積確率を返します。つまり、z=0からz=xまでの間の面積を計算します。
基本的な構文
Excel
=GAUSS(x)
各引数の意味は以下の通りです。
- x(必須): 標準正規分布における値を指定します(z値)。
NORM.S.DIST関数とは?
NORM.S.DIST関数は、標準正規分布の確率密度関数(PDF)または累積分布関数(CDF)の値を返します。GAUSS関数の代わりにこちらを使用することが推奨されています。
基本的な構文
Excel
=NORM.S.DIST(x, cumulative)
各引数の意味は以下の通りです。
- x(必須): 標準正規分布における値を指定します(z値)。
- cumulative(必須): 論理値で、関数の種類を指定します。
- TRUE: 累積分布関数(CDF)を返します。
- FALSE: 確率密度関数(PDF)を返します。
画像例の解説
画像では、以下の設定でGAUSS関数を使用しています。
- z値: セルA2に0.2が入力されています。
- 数式: セルB2には以下の数式が入力されています。
Excel
=GAUSS(A2)
この数式を分解して解説します。
- A2: z値(0.2)を指定しています。
数式の動作
この数式は、「標準正規分布において、平均(0)からz値0.2までの累積確率」を計算します。結果として、セルB2には0.07965…(約0.08)と表示されています。これは、z=0からz=0.2までの間の面積が約8%であることを意味します。
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NORM.S.DISTを使った場合
同じ結果をNORM.S.DIST関数で得るには、以下の数式を使用します。ただし、NORM.S.DIST関数はz値以下の累積確率を返すため、平均(z=0)からの確率を求めるためには、0.5を引く必要があります。
Excel
=NORM.S.DIST(A2, TRUE)-0.5
この数式も、z=0からz=0.2までの間の累積確率を計算し、GAUSS関数とほぼ同じ結果を返します。
例:正規分布の応用
GAUSS関数(またはNORM.S.DIST関数を使って平均からの累積確率を求める方法)は、例えば、テストの点数が正規分布に従う場合に、平均点からどれだけ離れた点数を取った人がどのくらいの割合いるのかを分析する際に役立ちます。
GAUSS関数の注意点
- 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
- GAUSS関数は標準正規分布(平均0、標準偏差1)にのみ適用されます。
NORM.S.DIST関数の注意点
- 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
まとめ
GAUSS関数は、標準正規分布における平均からの累積確率を計算する簡単な方法を提供しますが、現代のExcelではNORM.S.DIST関数を使用することが推奨されています。NORM.S.DIST関数は、累積確率だけでなく確率密度も計算できるため、より汎用性があります。また、任意の正規分布に対して確率を計算する場合はNORM.DIST関数を使用します。これらの関数を理解することで、正規分布に関する様々な計算をExcelで行うことができるようになります。
この解説で、GAUSS関数とNORM.S.DIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。
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