はじめに
Excelには様々な統計関数が用意されていますが、NORMSDIST関数は、標準正規分布における累積確率を計算する際に非常に役立ちます。標準正規分布は、平均が0、標準偏差が1の正規分布であり、統計学において非常に重要な役割を果たします。この記事では、NORMSDIST関数の基本的な使い方から、画像にある例までを詳しく解説します。
標準正規分布とは?
標準正規分布は、正規分布の中でも特に重要な分布で、以下の特徴を持ちます。
- 平均 (μ): 0
- 標準偏差 (σ): 1
任意の正規分布は、標準化と呼ばれる変換を行うことで標準正規分布に変換することができます。このため、標準正規分布の確率を求めることができれば、任意の正規分布の確率を求めることが可能になります。
NORMSDIST関数とは?
NORMSDIST関数は、標準正規分布における累積分布関数(CDF)の値を返します。累積分布関数とは、「ある値以下の確率」を表す関数です。
基本的な構文
Excel
=NORMSDIST(z)
各引数の意味は以下の通りです。
- z(必須): 標準正規分布における値を指定します(z値)。
画像例の解説
画像では、以下の設定でNORMSDIST関数を使用しています。
- z値: セルA2に0.2が入力されています。
- 数式: セルB2には以下の数式が入力されています。
Excel
=NORMSDIST(A2)
この数式を分解して解説します。
- A2: z値(0.2)を指定しています。
数式の動作
この数式は、「標準正規分布において、z値が0.2以下の確率」を計算します。結果として、セルB2には0.5793(約0.58)と表示されています。これは、標準正規分布において、値が0.2以下の部分の面積が約58%であることを意味します。
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標準正規分布表との関係
NORMSDIST関数は、標準正規分布表(zテーブル)を使って手計算で行っていた処理を自動で行ってくれます。標準正規分布表では、様々なz値に対する累積確率が掲載されており、NORMSDIST関数はこの表を参照する代わりに、直接計算によって値を求めていると言えます。
例:テストの点数
例えば、テストの点数が平均50点、標準偏差10点の正規分布に従うとします。このとき、60点以下の生徒の割合を求めるには、まず60点を標準化します。
z = (60 - 50) / 10 = 1
そして、=NORMSDIST(1)
を計算することで、約0.8413(約84%)という結果が得られます。つまり、約84%の生徒が60点以下だったということになります。
NORMSDIST関数の注意点
- 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
- NORMSDIST関数は標準正規分布(平均0、標準偏差1)にのみ適用されます。平均や標準偏差が異なる正規分布の場合は、前述の例のように標準化を行ってからNORMSDIST関数を使用するか、NORM.DIST関数を使用します。
NORM.S.DIST関数との関係
最新のExcelでは、NORM.S.DIST
関数も利用できます。NORM.S.DIST
関数は NORMSDIST
関数とほぼ同じ機能を提供しますが、より現代的な関数です。NORM.S.DIST(z, TRUE)
は NORMSDIST(z)
と同じ結果を返します。NORM.S.DIST
関数は、確率密度関数を計算する FALSE
の引数も取ることができます。
まとめ
NORMSDIST関数は、標準正規分布における累積確率を簡単に計算できる非常に便利な関数です。統計学の分野だけでなく、様々な分野でデータ分析を行う際に活用できます。標準正規分布とNORMSDIST関数を理解することで、より高度なデータ分析が可能になるでしょう。
この解説で、NORMSDIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。
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