473|標準正規分布(平均0、標準偏差1)に基づく確率を計算する|Excel NORM.S.DIST関数

目次

はじめに

Excelには様々な統計関数が用意されていますが、NORM.S.DIST関数は、標準正規分布における累積確率を求める際に非常に役立ちます。標準正規分布は、平均が0、標準偏差が1の正規分布であり、統計学において非常に重要な役割を果たします。この記事では、NORM.S.DIST関数の基本的な使い方から、画像にある例、そしてExcelのバージョン情報までを詳しく解説します。

標準正規分布とは?

正規分布は、自然界や社会現象に広く見られる連続確率分布です。その中でも、平均が0、標準偏差が1の正規分布を特に標準正規分布と呼びます。標準正規分布は、あらゆる正規分布を標準化することで比較や分析を容易にするための基準となります。

NORM.S.DIST関数とは?

NORM.S.DIST関数は、標準正規分布の累積分布関数(CDF)の値を返します。累積分布関数とは、ある値以下の確率を表す関数です。

基本的な構文

Excel

=NORM.S.DIST(z, [累積])

各引数の意味は以下の通りです。

  • z(必須): 標準正規分布における値を指定します。一般的にはz値(標準得点)と呼ばれる値です。
  • 累積(省略可能): 累積分布関数を求める場合はTRUE、確率密度関数を求める場合はFALSEを指定します。省略した場合、TRUEとみなされます。

Excelバージョン情報:NORM.S.DIST

NORM.S.DIST関数は、Excel 2010で導入されました。それ以前のバージョンでは、NORM.S.DIST関数に相当する直接的な関数はありませんでしたが、NORM.DIST(z, 0, 1, TRUE)で同じ結果を得ることができました。

画像例の解説

画像では、以下の設定でNORM.S.DIST関数を使用しています。

  • z(zの値): セルA2に0.2が入力されています。
  • 累積: TRUE(累積分布関数を求める)を指定しています。
  • 数式: セルB2には以下の数式が入力されています。

Excel

=NORM.S.DIST(A2,TRUE)

この数式を分解して解説します。

  1. A2: z値として0.2を指定しています。
  2. TRUE: 累積分布関数を求めることを指定しています。

数式の動作

この数式は、「標準正規分布において、z値が0.2以下である確率」を計算します。結果として、セルB2には0.57926…(約0.58)と表示されています。これは、標準正規分布において、平均から0.2標準偏差以下の範囲に全体の約58%が含まれることを意味します。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを、以下のリンクからダウンロードし、練習用として活用ください。

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NORM.S.DIST関数の応用例

NORM.S.DIST関数は、以下の場面で役立ちます。

  • 統計学: 仮説検定、信頼区間の計算。
  • 品質管理: 製品の品質管理における不良率の分析。
  • 金融工学: リスク管理、ポートフォリオ分析。

例:テストの点数

あるテストの点数が正規分布に従うとします。平均点が50点、標準偏差が10点の場合、60点以下の生徒が全体の何%かを求めます。

まず、60点を標準化します。

z = (60 – 50) / 10 = 1

次に、NORM.S.DIST関数を使用して、z値が1以下の確率を求めます。

Excel

=NORM.S.DIST(1,TRUE)

この結果は約0.8413となります。つまり、約84.13%の生徒が60点以下です。

NORM.S.DIST関数の注意点

  • zに数値以外を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。

まとめ

NORM.S.DIST関数は、標準正規分布における累積確率を簡単に計算できる非常に便利な関数です。統計分析などで頻繁に使用されます。Excel 2010以降を使用している場合は、NORM.S.DIST関数を使用することを覚えておきましょう。それ以前のバージョンでは、NORM.DIST(z, 0, 1, TRUE)で代用できます。

この解説で、NORM.S.DIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。

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