はじめに
Excelには様々な統計関数が用意されていますが、その中でもNEGBINOM.DIST関数は、特定の回数だけ失敗する確率を計算する際に役立ちます。この記事では、NEGBINOM.DIST関数の基本的な使い方から、画像にある例のような応用までを詳しく解説します。
NEGBINOM.DIST関数とは?
NEGBINOM.DIST関数は、負の二項分布に基づいて確率を計算します。これは、成功確率が一定の試行を繰り返し行う際に、特定の回数成功するまでに特定の回数失敗する確率を求めるために使用されます。
基本的な構文
Excel
=NEGBINOM.DIST(失敗数, 成功数, 成功確率, 関数形式)
各引数の意味は以下の通りです。
- 失敗数(必須): 試行が失敗する回数を指定します。
- 成功数(必須): 試行が成功する回数を指定します。
- 成功確率(必須): 各試行が成功する確率を指定します。0から1の間の数値を指定します。
- 関数形式(必須): 計算に使用する関数の形式を論理値で指定します。
- TRUE:累積分布関数(指定された回数以下の失敗回数となる確率)
- FALSE:確率質量関数(指定された回数の失敗回数となる確率)
画像例の解説
画像では、以下の設定でNEGBINOM.DIST関数を使用しています。
- 試行回数: セルB3に10が入力されています。
- 成功確率: セルA5に0.5(50%)が入力されています。
- 数式: セルB5には以下の数式が入力されています。
Excel
=NEGBINOM.DIST($B$3-5,$B$3-5,A5,FALSE)
この数式を分解して解説します。
- $B$3-5: 試行回数(10)から5を引いています。これにより、失敗数と成功数はどちらも5になります。
- A5: 成功確率(0.5)を指定しています。
- FALSE: 確率質量関数を使用することを指定しています。つまり、ちょうど5回失敗する確率を計算します。
数式の動作
この数式は、「成功確率が50%の試行を繰り返し行う際に、5回成功するまでにちょうど5回失敗する確率」を計算します。結果として、セルB5には12%(正確には0.123046875)と表示されています。
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例:コイン投げ
この例をコイン投げに例えて考えてみましょう。
- コインを投げる試行を繰り返し行います。
- 表が出る確率(成功)は50%です。
- 5回表が出るまでにちょうど5回裏が出る確率を計算しています。
関数形式の使い分け
- TRUE(累積分布関数): 例えば、
NEGBINOM.DIST(5, 5, 0.5, TRUE)
は、「5回成功するまでに5回以下(0回、1回、2回、3回、4回、5回)裏が出る確率」を計算します。 - FALSE(確率質量関数): 例えば、
NEGBINOM.DIST(5, 5, 0.5, FALSE)
は、「5回成功するまでにちょうど5回裏が出る確率」を計算します。
NEGBINOM.DIST関数の注意点
- 失敗数と成功数は0以上の整数でなければなりません。
- 成功確率は0から1の間の数値でなければなりません。
- 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
- 成功確率が0または1の場合、計算結果が不正になる可能性があります。
まとめ
NEGBINOM.DIST関数は、特定の回数だけ失敗する確率を計算する際に非常に役立つ関数です。特に、成功確率が一定の試行を繰り返し行う状況で、特定の成功回数に達するまでの失敗回数を分析する場合に有効です。画像にある例のように、試行回数から値を引いて失敗数と成功数を求める方法は、特定の条件下での確率を求める際に便利なテクニックです。この関数を理解し、適切に活用することで、データ分析の幅を広げることができるでしょう。
この解説で、NEGBINOM.DIST関数について、より深く理解できたかと思います。この情報を活用し、Excelでのデータ分析をより効率的に行いましょう。
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