463|Excel BINOM.DIST/BINOMDIST関数徹底解説:サイコロの確率計算もラクラク!

このブログでは、ExcelのBINOM.DIST関数(および旧バージョンのBINOMDIST関数)について、詳しく解説します。サイコロの例を使って、具体的な計算方法を見ていきましょう。

目次

二項分布とは?

二項分布は、成功確率が一定の独立な試行を複数回行った場合に、成功する回数の確率分布を表します。例えば、

  • コインを複数回投げて表が出る回数
  • サイコロを複数回振って特定の目が出る回数
  • 製品を複数個検査して不良品の個数

などが二項分布に従います。

BINOM.DIST/BINOMDIST関数とは?

BINOM.DIST関数は、指定された試行回数、成功回数、および成功確率に基づいて、二項分布の確率を計算します。旧バージョンのExcelではBINOMDISTという名前でしたが、機能は同じです。新しいExcelではBINOM.DISTを使うことが推奨されています。

BINOM.DIST/BINOMDIST関数の構文

Excel

BINOM.DIST(成功数, 試行回数, 成功確率, 累積)

各引数の意味は以下のとおりです。

  • 成功数(必須): 試行回数の中で成功する回数を指定します。0以上の整数である必要があります。
  • 試行回数(必須): 独立した試行の回数を指定します。正の整数である必要があります。
  • 成功確率(必須): 各試行が成功する確率を指定します。0以上1以下の数値である必要があります。
  • 累積(必須): 論理値を指定します。
    • TRUE: 累積分布関数を返します。つまり、指定された成功数以下のすべての成功回数に対する確率の合計を返します。
    • FALSE: 確率質量関数を返します。つまり、指定された成功回数ちょうどになる確率を返します。

BINOM.DIST/BINOMDIST関数の使用例

上記画像の例では、以下の設定でBINOM.DIST関数を使用しています。

  • 試行回数: 5回 (セルB3に格納)
  • 成功確率: 0.5 (50%) (サイコロで奇数が出る確率)
  • 求めたい確率: 1回、2回、3回、4回、5回それぞれ奇数が出る確率

画像に示されている数式は以下のとおりです。

Excel

=BINOM.DIST($A5, $B$3, 0.5, FALSE)

この数式を分解して説明します。

  • $A5: 成功回数への参照です。A5セルには1が入力されているため、最初は「1回成功する確率」を計算します。数式を下にコピーすると、A6(2回)、A7(3回)…と参照が変わり、それぞれの回数成功する確率が計算されます。$記号は、B3セルへの参照を固定するために使用しています。
  • $B$3: 試行回数(5回)への絶対参照です。
  • 0.5: 成功確率(50%)を指定しています。サイコロで奇数(1, 3, 5)が出る確率は3/6 = 0.5です。
  • FALSE: 確率質量関数を返すことを指定しています。つまり、「ちょうどX回成功する確率」を計算します。

具体的な計算例:

  • 1回だけ奇数が出る確率: =BINOM.DIST(1, 5, 0.5, FALSE) ≈ 0.1563 (約16%)
  • 2回だけ奇数が出る確率: =BINOM.DIST(2, 5, 0.5, FALSE) ≈ 0.3125 (約31%)
  • 3回だけ奇数が出る確率: =BINOM.DIST(3, 5, 0.5, FALSE) ≈ 0.3125 (約31%)
  • 4回だけ奇数が出る確率: =BINOM.DIST(4, 5, 0.5, FALSE) ≈ 0.1563 (約16%)
  • 5回すべて奇数が出る確率: =BINOM.DIST(5, 5, 0.5, FALSE) ≈ 0.0313 (約3%)

これらの結果は、画像に表示されている数値と一致しています。

Excelサンプルデータのダウンロード

上記画像のエクセルサンプルデータを以下のリンクからダウンロードしてください。

【Excel】練習用サンプルデータ(例題)をダウンロード(無料)

累積分布関数を使用する場合

BINOM.DIST関数の最後の引数にTRUEを指定すると、累積分布関数が計算されます。例えば、「3回以下奇数が出る確率」を計算する場合は、以下の数式を使用します。

Excel

=BINOM.DIST(3, 5, 0.5, TRUE)

この場合、0回、1回、2回、3回奇数が出る確率を合計した値が返されます。

BINOMDIST関数について

BINOMDIST関数は、BINOM.DIST関数の旧バージョンです。Excel 2010以前のバージョンで使用されていました。現在ではBINOM.DIST関数が推奨されていますが、互換性のためにBINOMDIST関数も引き続き使用できます。構文や機能はBINOM.DIST関数と全く同じです。

注意点

  • 引数に数値以外の値を指定すると、エラー値#VALUE!が返されます。
  • 成功数または試行回数が0未満の場合、エラー値#NUM!が返されます。
  • 成功確率が0未満または1より大きい場合、エラー値#NUM!が返されます。

まとめ

BINOM.DIST/BINOMDIST関数は、二項分布に基づいて確率を計算する際に非常に便利な関数です。サイコロの例を通して、具体的な使い方を理解できたかと思います。品質管理、統計分析、ゲームの確率計算など、様々な場面で活用できるでしょう。特に、FALSEを指定することで特定の回数成功する確率を、TRUEを指定することでそれ以下の回数成功する累積確率を計算できることを覚えておきましょう。

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